町内のSさんが包丁を研いでくれるというので先日蕎麦包丁をお願いしていたが、本日それを持って来てくれた。大分刃が反っていたので直すのに難儀をしたらしい。さもありなん。たまにKさんが研いでくれる事は有ったが、こんなにしっかり研いでくれる事は無かった。
うーむ、確かに刃が真っ直ぐになっていた。今迄はかまぼこ形になっていたらしい。道理で余り良く切れなかった訳だ。(切り方の悪い事は言わないで包丁のせいにする?)私と違って彼は中々器用な所があって、スピーカーやネットワークなども自作する所謂「自作派」である。所が自分で作ると言う事は一歩間違えると独善に陥りやすい。たった3人の仲間内だけでオーディオは交流しているだけだから、ほとんど耳は鍛えられてない。だから自分ではかなりの線は行っていると思っているフシがある。
まあ、本人が気に入っていれば何をか言わんやなのであるが、さも分かっているような事を周囲の人に言うから迷惑なのである。今日も包丁をこんなに上手く研いできてくれたのだから、御礼にお茶でもと自家焙煎のコーヒーを入れてもてなしたが、折角我が家に来てくれたからにはオーディオマニアの彼に我が家の音を聴かせないで返す訳には行くまい。
そこでお茶を飲みながら聴いて貰った。開口一番、彼が言うには
「ヴォーカルの口が以前より小さくなったね」。
うん? 気がついた? まあ、それくらいは分かったらしい。でも彼は自分の所の音と私の所の音との決定的な違いに気が付いてはいない。彼の話を聞くと自分の所の音は分離が良く、メリハリや切れがあって、音の広がりや奥行き感も出るらしい。しかもその音が甚く気に入っているというのだ。しかし私が聴いた感じでは彼のような独特の?音を出しているマニアは他に聞いた事がない。分離がいいと言うより音がバラバラなのだ。奥行き云々と言うけれど音は壁にへばりついている感じだし、広がり感は単に左右のスピーカー間が離れているからだ。私に言わせればどうしてこんな音になるかくらいの音の出方なのである。
先ほども書いたように本人が気に入っていれば何も私がしゃしゃり出る事は無いのだが、何せ本人が気づかずに「俺の所の音はいい音だ」と確信していてそれを他人に吹聴するような事が有るから困ってしまう。まあ別にそれでこちらが損害を被る訳でなし。構わないで置いといてもいいんだけど、私に対しても講釈をぶつから、こちらも思わず言ってしまうのだ。全くマニア同士の意地の張り合いにも困ったものですなあ。(笑)
ま、包丁を上手く研ぐにもそれなりの知識や経験が必要だろう。同じようにオーディオの耳もそれなりの経験を積まないと鍛えられないんだよ。もっと色んな人の音を聴いてよねと言いたい。そうして耳が鍛えられれば「おー、見事な聴きっぷり!」と褒めますよ、アタシャ。
エー、参考までに以前書いた記事です。