すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

夏の夜

 子供の頃夏の夜は何らかの楽しみがあった。夜の子供達の夜回り(火の用心)の後花火をしたり、スイカを食べたり、肝試しなんてのもあった。それは今と違ってそんなにまだ外灯が多くなく、暗かったのでそんな事が出来たのだろう。

 

 ミルクの缶を切って釘をうち、そこに蝋燭を立て龕灯(がんどう)を作り、それを持ってあちこち騒ぎ回って夜更かしした物で有る。またお盆が近づけば毎晩のようにお寺の境内で盆踊りの練習が行われたのでそれに参加した物で有る。

 

 今では盆踊りをやる町内は滅多に無くなってしまって些か寂しい。我が町内もいつ頃までやっていただろうか。私がこの町内に越してきた時はまだ町内が若かったから親睦を深めるために大いに行われた物で有る。それが何故無くなってしまったのだろう。

 

 娯楽が多様化し、もはや盆踊りなど面倒くさくなってしまったのだろうか。夏の風物詩とも言える盆踊りが姿を消して行くのは寂しい。また祭りの晩など夜店が出るのでそれも楽しみだった。金魚すくい、風鈴の音。アセチレンランプの光。どれを取っても懐かしい。夏の夜は今思い返してみると別世界だったのかも知れない。

 

 今はけたたましいバイクの音や車の騒音が夜の静寂(しじま)を破る。何か夢のない時代になってしまった。そう言えば今と違って床屋さんなんかも遅くまでやっていてくれた。お客さん同士が待っている間に将棋を指しているなんてこともあった。皆大して裕福な暮らしをしていた訳では無かったが、こせこせしてはいなかった。考えればあの頃が一番良い時代だったのかも知れぬ。

 

 今はまた戦争が始まり、日本は裕福のように見えてその実時間に追われるような暮らしをしている。これで本当に皆満足しているのだろうか? 精神的充足が本当の贅沢で大事だったように思う。もう一度あの夏の夜に戻ってみたい。