すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

懐かしい山

 今晩テレビを見たらNHKで平標山(たいらっぴょうやま)をやっていた。(新潟版限定)これは以前やった物の再放送だが、平標山というと私が山を始めたきっかけになった山だから懐かしかった。

 

 その頃は山と言えば精々地元の名山米山に行くくらいでそれより高い山に登ったことはほとんど無かった。で、湯沢にあるこの標高2,000m近い山に予てから登ってみたいと思っていた。そこでその頃親交のあった今は亡きN君に頼み込み、連れて行って貰うことにしたのだ。

 

 当時はまだ二人とも40代。まだまだ意気盛んな頃であった。私はその頃フルマラソンをやっていたので些か体力には自信があった。で、夏のある日登ることにしたのだが、このN君がアータラ、コータラと蘊蓄を語るのでウルサイ。人の歩き方にまでケチを付ける。あのね、遅れてるのならともかくちゃんとついて行ってるでしょ。ウルサク言わないの。

 

 本日の出で立ちは簡単なナップサックとクーラーボックスと言う、今で考えれば到底山に登る格好では無い。(笑)おまけに登山靴なんか持ってないし、只のズックだ。だけどオイラなんかまだ増しで肝心のN君なんか昼飯さえ用意してこない。ニャロメ、人にたかる気だな。幾ら案内してやるったって図々しい野郎だ。(笑)この頃からN君のたかる性分に気づけなかったのが拙者の不覚じゃ。(涙)

 

 で、二人とも体力は有るからあっという間に山頂に着く。このころから少し雲行きが怪しくなっては来ていたのだが、N君の提案でお隣の仙ノ倉山まで足を伸ばすことにした。仙ノ倉山は標高2,026m。どうせ来たんだから標高2,000mまで征服しておきたいと欲が出る。

 

 で、そのまま前進。途中でガスが掛かり、辺りの景色は全く見えなくなった。だいぶ進んだ所でN君が突然「ここが仙ノ倉の頂上だ」と言う。私は「えー、こんな道の途中みたいな所が頂上なの?」と訝しんだ。と言うのも辺りに頂上標識は見当たらないし、どう考えても変なのだが、地元のN君が言うことだから間違いは無かろうと思ってそのまま引き返した。私としては念願の2,000m峰を征服したので大いに満足して帰った物で有る。

 

 ところが後年山をやる友人とまた平標から仙ノ倉の縦走をした。今度は晴れていたので周りの景色が良く見える。で、件の頂上と思しき地点に来たがそこが頂上であるはずがない。案の定そこは単なる通過点だったので有る。仙ノ倉の頂上はそこからまた平標からそこまで歩いてきた位を歩かなければ到着しなかったのである。

 

 仙ノ倉山には当然頂上標識は立っていたし、その周りも広かった。多分今思うとN君は仙ノ倉の頂上に立った事がなかったのであろう。恐らく景色は見えないし、もう歩くのが嫌になって、ガスで周りが見えないのをいいことに私に嘘を教えたのかも知れない。或いはどうせ私が知らないし、自分も自信が無いから適当に教えていたのかも知れない。いい加減な奴。でも知ったかぶりは良く無いよ~ん。

 

 この後これ以外のことでもN君はどんどん化けの皮が剥がれて行くのだった。悪い奴じゃ無いし、色んな事を知っている人だったが知らないことまで知ってる振りをするのはどうかねえ。今年の夏が来るとN君が亡くなってから3年が経つが未だに山登りの出発点になった平標登山を忘れられないのである。

 

 え、そんなにN君の悪口を書いていいのかって? もう亡くなった人なのにですって?  いいんです。こうしてまだオイラ達の記憶から去らないで何時までも口の端に上り、虐めてやることが彼の供養となるんです。なんまんだぶ。(何じゃ、そりゃあ)

 

1,999年、最初に平標山に登った時の頂上写真。ご覧のようにガスと解像度の

悪さで顔にフィルターを掛ける必要がございません。平標はこの後何度も登る
ことになります。