朝パソコンを使っている時電話が掛かってきた。Ｎ証券のＳさんからだったが、何でも日経のファンドが連続して値上がりしているので、ここらで売らないかという話だった。私は
（おっかしいなあ。Ｄ銀行では確かに日経を買ってはいるが、まだそれほど買っていない筈だし、Ｎ証券では買ってない筈なんだけどなあ。）
「えーと、それで今売るとどれくらいの利益があるんですか？」
「ちょっとお待ち下さい。えーと、16万円ほどです。」
そうかあ。ま、大した事ないけど（またそんなこと言って。ホントは大した額だと思っているくせに）今迄赤字だったから、儲けが出た時点で売っておくか。でもやっぱりおかしいな。利益がまだ出ていない筈なんだけどなあ。ま、向こうが出ているってんだから、そうなんだろ。売っちゃおうと。あー、やっと少しは懐が楽になる。
と言う訳で取り合えず売却という旨を伝えておいた。所が少し経ってから、
Ｎ証券の所長さんが来て、先ほどの連絡は間違いだったという。何でも電話を掛けてきた社員のＩさんが、日経の株を買っている人と間違えて電話してしまったというのだ。あー、やっぱり。おかしいと思ったんだよな。毎日パソコンで私が買った投資信託債券の動きは確かめているんだから。
結局16万円の収入は夢と消えた。やっぱり金とは縁が無いすかんぴんです。晩夏の蝉の声の如く、私はぼやくのだった。
「ツクヅクホーシイ、カネホーシイ！」
