すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

思い出のだるまストーブ

 小、中学生の頃の学校の暖房は薪ストーブとか石炭ストーブで有った。薪ストーブは直ぐに姿を消したが、石炭ストーブはズーッと学校に君臨していた。だから石炭置き場なるものが有って、石炭はそこに貯蔵されていた。

 2人1組のストーブ当番が順番制でやってきて当番は毎日石炭バケツ、(これはちょっとペリカンの下のくちばしみたいな格好をして独特だったが、何故こう言う形状になったかは定かではない)を持って石炭小屋へ行き、シャベルで石炭を掬ってバケツに入れて来るので有る。その際粉になったようなものばかり入れてくると火力が出ないので、後でみんなから非難囂々(ひなんごうごう)の憂き目に遭う。

 さて着火であるが紙に火を着けて石炭に着火するのではなく、柄の付いた軽石みたいなものに灯油を染み込ませてあるものに火を着け、これが燃え尽きないうちに石炭に移すので有る。ところが下手な当番がいて、石炭に燃え移る前に火種を消してしまうのだ。さあ、そうなると回りからもう口汚く罵られる事になる。なにせ真冬だったら気温1度か2度くらいしかないから、ストーブが無かったら寒くていられない。
 「バカヤロー、何やってんだ!早く着けろ。火種が無かったら用務員さんの所へ行ってもらって来い。風邪引いてしまうじゃねーか。」

 斯様に寒いと気が立ってくるので有った。さてストーブはだるまストーブと言って(ある年齢以上の方はご存じですよね?)ストーブの中程が膨らんだ格好をしていて、熱効率が良いように縦に溝が入っていたてさながら女性のプリーツ・スカートを膨らませたようなデザインだった。

 火力が上がってくるとストーブに近い席の生徒達は暑くてたまらないし、反対に最後列の隅の生徒は満足には暖まらなかった。だから休み時間になると後ろの生徒はストーブの回りに集まる事になる。ストーブには金網が取り付けられていてそこで弁当を暖められるようになっていた。これは良かった。

 石炭ストーブという奴は燃えかすが堪っているのに取らないでどんどん石炭をぶち込むと、段々燃焼が悪くなり、煙ばっかり出てくる。やっぱりノメシコキをしてはいけませんな。同様に煙突に煤(すす)が堪るとやはり燃えが悪い。ちゃんとメインテナンスをしないと暖かい思いは出来ない代物だったのである。

 ストーブ当番は下校時はちゃんとストーブの後始末をしてから帰らなければならなかった。すなわち火種が残ってないか確認をし、灰の始末もし、更にストーブの回りに打ち水をして帰った。余談だが私はこのストーブ当番が結構好きだった。何せ火をいじるのが好きだし、石炭をくべる役目柄ストーブに当たれる。石炭ストーブっていいなあと思っていたのであるが・・・・・。

 ある時用事があって教務室に行ったら、胴が真っ赤になっているストーブを見つけた。それも生徒の教室と同じくらいの広さの部屋に2基。ストーブはコークス用のストーブであった。石炭よりももっと燃焼効率が良く、火力も出る。もう側へ寄ると熱くていられないくらいであった。
 「クッソー、先生はいいなあ。こんなあったかい部屋にいられるんだから。大体ストーブが2台だよ。しかもコークス用ストーブって。こりゃあ、差別だ!おれたち教室の後ろの者は寒い思いをしているのに・・・・」
大人のずるい一面を垣間見たようで私はやりきれなかった。

 今では石炭ストーブはすっかり見られなくなってしまった。それと共に石炭の需要もめっきり少なくなってしまったが、冬になると何故かあの石炭の臭いと真っ赤に焼けただるまストーブが懐かしく思い出されるのである。