久し振りに町内のオーディオ仲間のSさん宅へお邪魔した。先頃我が家へ夕飯のおかずを持ってきてくれた時、スピーカーのサランネットやオーディオ・ラックを変えて音が良くなったという話を聞いていたから興味津々で有った。
サランネットは以前の白とは違って目にも鮮やかなブルー。でもこれがとてもいい。周囲の白い壁に上手く合っている。凄くかっこよく感じた。オーディオラックはネットで見つけたそうなのだが、オークションなどで買った中古ではなく新品だという。強化ガラスを棚板に用いた物で、前後左右の壁板は無い。つまり箱状になっていなくて、棚板のガラス板と4本の支柱だけなのだが、これがまたスッキリして良い。以前のがっちりした箱も悪くはなかったが、少々ださい感じがした。うちとは違ってキチンと部屋の中を整頓されているSさんにはこのラックの方が断然良い。
耐荷重は1枚15k程度だそうなので、機器の重量が脚4本に集中しては困るので脚の前後に板を渡して重量を分散しているとの事。何せアンプやCDプレイヤーはどちらも20kg程度有るそうだから。え、ぐだぐだ説明するより写真を見せた方が早かろうって?えへへ、それがそのう撮り忘れたから、こうやって下手な説明をしてるんだよ~ん。(アホ!)
オマケにこのラックは見栄えが良いだけでなくお値段が信じられないくらい安い。な、何とたったの1万円。うっそー!これには私も俄には信じられかった。本当なら自作をするより余程良い。う~む、Sさん、中々良い掘り出し物を見つけたわい。
えー、中々本題に入らなくてすんまへん。で、久し振りに遊びに来た私に敬意を表してくれたのか、Sさんはケニー・バロン・トリオとか私好みの盤を掛けてくれる。そのうちの1枚にジャズ・ヴォーカルのビリー・ホリデイが有った。どうやらLPの「レディ・デイ」をCD用に曲を水増ししてCDにしたものらしい。私がビリー好きと言う事を知っているのでサービスしてくれた物だろう。
それは有難かったのだが、Sさんは果たしてこの盤を気に入って聴いているのだろうか? そうではあるまい。寧ろ白人ヴォーカリストのようにムードたっぷりの盤の方が好みのようだ。では何故買ったのか? 恐らくジャズの雑誌にビリーは「ジャズ・ヴォーカルの神様」として書かれており、上記の盤は代表的名盤と紹介されているからだろう。
しかし、どんなに批評家の先生方が名盤と推薦しようとも、本人が気に入らなければ、只の駄盤である。斯く言う私もその昔はビリーの良さが分からなかったので駄盤と化していたのだ。でも一所懸命聴いた甲斐あって分かるようになり、今では上記の盤は愛聴盤で有る。Sさんに言いたいのは一度や二度聴いたばかりで判断しない事。特に名盤と言われるものは尚更で有る。まあ、中にはそうでないのもあるけどね。(笑)
このように名盤と言われても結構聴かれてない物は少なくない。デューク・エリントンなんてやはり取っつきが悪いから、名前の割りには聴かれていないし、コルトレーンやマイルス辺りも初期の盤の方が人気だ。更にオーネット・コールマンなどのフリージャズの連中に至っては名前は知ってるけど聴かないと言う方の方が多いのではないだろうか?
勿論私もどうしても好きになれないスタイルという物は有るが、ある程度の数の評論家先生が良いと仰る物はやはりじっくりと聴いてみる必要があるのではないか。ジャズはポップスや流行歌と違って、特にモダンジャズなどは分かりにくさがあるが、ある程度分かると、それが病み付きになる面白さがある。折角CDを何千枚も集めても良く聴くのは百枚も無いなんて余りに寂しいでは無いか。己の理解力が向上すればまた聴くのが楽しくなると言うものだ。え、この歳になって今更勉強したり、頑張りたくないって? まあ、そうかもしれないけど、どうせ退屈してるんでしょう? それくらい頑張ってみては? 新しくどんどんCDを買うのも良いが、買ったCDをしっかり聴くのも大事ですよ。
私の愛聴盤、ビリー・ホリデイの「レディ・デイ」だが、このジャケットのビリーはいくら何でも酷すぎる。噛み付こうとしている鬼婆に見えるではないか。(笑)