久し振りにマーさんが我が家へ遊びにやって来た。
「ヨー、どうしたい。久し振りだなあ。コロナにでも罹っていたかい? それとも他に遊ぶ方が忙しかったのか?」
「いやあ、それどころじゃない。毎日暑さの中肉体労働で休みの日にはグロッキーで何処へも出掛ける気にならないから家でゴロゴロしていたよ。」
彼は目下養鶏場で働いていて夏は草刈り、鶏舎の清掃などで忙しい。冷房の効いている職場では無いのでかなりの肉体労働である。まあ、それでもオイラの現役の時の仕事に比べればまだ楽だよ、ウン。お陰で彼の肉体は以前と比べてしっかりスマートになった。ダイエットするなら仕事をしながらするのがお金もかからず一番だね。(笑)
ところでどうもやって来たのはこの夏何処か私にお山へ連れて行けと言うので有る。え、それだけ毎日疲れていて良くお山へ行く気になるなとは思ったが、考えてみれば向こうは毎日鶏舎の端から端まで何回も歩いているので、かなりの健脚になったに違いない。それに引き替え我が肉体は腰の曲がったのが禍して足も満足に上がらない。しかも毎日家でごろごろしていて体力は衰えるばかりだ。
「ふふふ、昔の俺と思うなよ」はドラマや何かで良く聞く台詞だが、オイラの場合、昔は確かに底なしの体力と言われたが、今は見る影も無い。だから嘗てのオイラの姿を想像しては駄目なのだ。そう言う意味の「昔の俺と思うなよ」なのだ。(笑)
だからお山へなんて行けるはずが無い。そう言ったら、
「なるべく車で近くまで行けるところを探そうよ。立山なんてどうだ?」
「う~む、立山か。オイラはもう登っているから別に登らなくてもいいんだが、マーさんはまだ登ってないようだから、まあ、そこでもいいか。ただあそこはケーブルカーやバスを使わなければならないから結構金がかかるんだよね。」
「日帰りは出来るんだろう?」
「ああ、他の山さえ登らなければ日帰りは出来るよ。でも山へ行くとなると事前にオイラは地元の八石山にでも行って足を鍛えねばならんな。まあ、他にもっと手頃なお山があるかも知れないから探してみるベえ」
と返事しておいた。
マーさんはとっくにお山は諦めていたと思っていたのに中々執念深いな。(笑)まあ、私もお山へ行きたいのは山々なれど肝心の脚が言う事を聞いてくれなければマーさんの足手まといになる。やれやれ熟々体力の衰えを実感しますな。