FMが実用化されると直ぐに人気が出てステレオで配信されるようになり、益々音楽ファンには有り難い存在になったもので、私もオーディオをやり始めた初期の頃はオープンデッキにFM専用チューナー、ヘッドフォンの機械を使い、屋根には8素子のFMアンテナを上げてエアチェックをしていた。
その当時は面白い音楽番組が沢山有ったのでもう毎日のようにエアチェックをしていた。お陰で随分テープ代が嵩んだ物だが、楽しい音楽も沢山聴けた。しかし、近年はオーディオ誌の機器紹介覧にチューナーやテープ・デッキの記事が載る事はまず無い。今やネット時代になって豊富に音楽ソースがネットから取り込める事が出来るからで有る。しかもデジタルだから、エアチェックのようにタイマー録音したり、機械の前に曲の演奏時間しがみついている必要が無くなったから、必然的にこれらの機器は無用の長物と成り下がったので有る。
まあ、チューナーを使っている人はバック・グラウンドミュージックの如く、ただ音楽を流していたい時にだけ用いるくらいで有ろう。大体私がそもそもエアチェックをしなくなった原因は面白い音楽番組が無くなった事で有る。嘗ては年末になると今年1年間に流行った歌などの特集をやってくれたりして、それを丸ごと録音して気に入った盤が有れば買っていた物だが、近年は私の気に入った曲がほとんど無く、また世界的ヒットとなる曲も少ないようだから尚更だ。
そんな訳で家を建て替えてさてFMを聴いてみようかとアンテナを繋ごうとしたが、番組表を見るとつまらない物ばかりだったので、私はそこでFMと決別した。無理にそんな物を聴かなくてもネットラジオで自分の好きなジャンルを幾らでも聴ける。しかも空中を飛んでいる電波を捕まえる訳ではなく、ネットからの物だから雑音が入る心配は無い。
私は今ミニコンポを含めると3台のチューナーが有るが、哀れ3台とも埃を被っている。夜寝る前に布団に潜り、熱心に聞いていたあの頃が今となっては懐かしい思い出だ。
こんな立派テレコも今じゃ只のお飾りに