すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

エアチェック

 もはや今では死語となってしまった感のあるこの「エアチェック」と言う言葉だが、FM音楽などを録音することを指している。私自身も20代、30代は盛んにエアチェックした物だ。何故ならオーディオ機器を一度に買いそろえるお金が無かったので、音楽を楽しむにはまずFM放送を受信し、録音することが色んな曲や演奏を楽しめると思ったからである。

 

 だから当然最初に購入する機器はチューナーとテープ・レコーダーであった。私は拘ってチューナーはFM専用チューナー、テープデッキはオープン・リールと一応虚勢を張って(笑)、また将来カセットデッキを購入することを考えてそれに決めた。ついでに留守番録音をすることが多くなるから、オーディオ・タイマーも買った。これは余り時間が狂っても困るから、出来るだけ正確にON、OFF出来るようにデジタル・タイマーを買った。これはFM専用チューナーなんぞよりお高く、大分懐具合を苦しめた。(笑)

 

 もう毎日のように録音するのでテープの山が段々高くなってくる。オープンテープはカセットテープよりも高いので、その出費も馬鹿にならない.さてそうなると次に考えることはカセット・デッキを買ってオープンからカセットへダビングすることである。こうすれば自分の好きな曲や演奏だけカセットにコピー出来るし、元のオープンテープはまた再利用して新たに録音出来るのでテープ代の節約になる。

 

 と言うことで今度はカセットテープの山が出来る。(笑)確かにテープ代は掛かるが、レコードを買うことに比べれば遙かに節約している。それにFM放送からは今流行っている曲、過去のヒット曲、そして様々なジャンルの曲を提供してくれるから、私には有難い存在だった。

 

 FM放送をクリアーに受信するため、屋根には8素子のFM専用アンテナを上げ、やはり褌(当時はT字型の平行フィーダアンテナはこう呼ばれていた)とは訳が違うよななどと一人悦に入っていた。あの頃は週間のFM雑誌が盛んな頃で、私も買って今週はどんな番組が放送されるか、しきりにチェックしていた。

 

 NHKの午後3時頃から放送される「軽音楽をあなたに」は3時間の長時間番組であるため、悲しいかな私のオープンリールでは最長1時間半しか録音出来ない。熟々オート・リバース・デッキを買っておけばと悔やんだが、購入した当時はそれでも目一杯奮発したのだから止むを得ない。

 

 では1時間半の録音で満足したかというと決してそんなことは無い。私は仕事の途中、丁度1時間半になる頃を見計らって帰宅し、オープンテープをひっくり返して再び仕事に出かけたものだ。まあ、自分で営業していたから、そんなことが出来たのだろうけど、わざわざ家に帰るのだから仕事には大いに支障があった。(笑)

 

 でも音楽に熱くなっていたあの頃が一番楽しかった。またいい番組が沢山有って、良い曲も盛んに作られていたんだよねえ。それが今では興味を引くような番組はほとんど無い。ヒット曲も余り出なくなってしまった。デジタル化が進み、ネットの音楽配信によりお好みの曲だけを音質の良い状態で受信出来るから、今やエアチェックなんぞやる人はほとんどいない。当然のようにFM音楽誌もいつも間にか消えてしまった。

 

 今思い出すに俺たちはああ、いい時代を生きたんだなあと熟々思う。夜、布団に潜り、ヘッドフォンを耳に押し当て、貪るように聴いていたあの頃が本当の音楽ファンだったのかも知れない。エアチェック世界の音楽を、新しい曲や懐かしい曲を聴くことで随分と音楽に対する感性や知識は深まった。若い頃にいい音楽を聴く。大事だと思いますが、今の若者達はどうしているのだろうか? 老婆心ながら不安に思います。

 

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