すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

縦振動盤を聴く

 レコードを最初に発明したのは言わずと知れたエジソンであったが、最初は今のような平円盤では無く、蝋管に音を刻んだものでラッパ吹き込みであった。当時は記録用の針で音を刻み、再生用の針で音を再生する物だった。音を記録出来るという画期的な発明であったが、如何せん筒状だからスペースファクターが悪い。しかもエジソンは音楽記録用にはあまり関心が無かったために、有名楽団や、歌手達の録音はあまり行わなかった。そしてこの録音方式の溝の刻み方は上下方向に刻む所謂縦振動方式だった。

 

 やがてベルリナーが今のような平円盤に記録する方式を発明した。これはスタンパーで簡単に複製を作れるばかりで無く、置き場所にも困らないことから瞬く間に普及した。しかも今度は音楽記録用と言うことにも重点を置いたため、有名歌手達がこぞって吹き込んだ。記録方式は溝の幅で記録する横振動である。

 

 こうなると売れ行きは蝋管方式はガタ下がりになって行ったので、流石のエジソンも指を咥えて見ている訳には行かない。彼も遂に円盤形に移行せざるを得なかった。しかし彼は飽くまで縦振動方式の方が音が良いと拘ったのでとんでもない厚さの盤に記録した。横振動盤と違って垂直方向に溝を刻むので横幅は取らないが、その代わり厚みが必要なのである。しかし1本、1本の溝幅が狭いため10インチ盤で12インチ盤ほどの録音時間が稼げた。

 

 エジソンが蝋管式に拘ったのは平円盤は外周と内周ではスピードが違うため、音質が変わってくると言う点である。だが売れなければどうのこうの言ってられない。止む無く平円盤に移行した彼だったが縦振動方式は変えられないとして斯様な厚みとなったのである。

 

左が横振動盤、右が縦振動盤。全然厚みが違う。だから床に落としたぐらいでは割れない。(笑)

 

 さてこのエジソン盤は聞く所に依ると回転数は78回転では無く80回転だそうだが、なに、お試しに聞く分には全然構わない。それにこれを再生するには縦振動用のカートリッジが必要なのだが、私が使っているWesternの9Aは横方向と縦方向の2つコイルが入っているので、どちらでも再生出来る。

 

 で、再生しようと思ったのはいいが肝心の縦振動盤が見当たらない。以前今は亡きN君から戴いた物で中身は確かどうって事の無い内容だったと思われるが、私の所に来てから1回も再生してなかったから再生してみたかった。レーベルは紙貼りになっている。んで、幾ら探しても見つからなかったのでヨーさんの所へ行って2枚ほどお借りしてきた。こちらはレーベルはエッチング加工されている古い盤である。でも高級感がありますな。

 

レーベルはエッチング加工されていて高級感がある。

 

 オーディオ評論家先生達のご意見はエジソン盤の後期はいい歌手達も録音しているし、音も横振動盤より宜しいとのことなので、いくらか期待していたがヨーさんの仰るにはこの盤は古い盤だから雑音だらけだったとのこと。あれま。

 

 まあ、いいや。聴いてみようっと。9Aの針をSP盤用の2.7ミルに替える。いんやあ、これだけの厚みの有る盤が78回転で廻っているとど迫力ですなあ。(笑) おお、ちゃんと歌声が聞こえる。さすが9A。だがヨーさんが言ったように雑音だらけだ。恐らくラッパ吹き込み時代の物だろう。曲はクリスマス・ソングのようだ。まあ、音は少し期待したんだけどこんなもんでしょう。

 

 ありゃあ、針が飛んだ。うーむ、盤が傷んでいるのか、それとも縦振動だから軽針圧だと針飛びしやすいのか。今でも12gは掛かっていると思うんだけどなあ。じゃあこの次は9A本来の針圧で掛けてみますか。まあ、今日はお試しと言うことで止めにした。今度は是非いい録音の後期盤を聴いてみたい物ですな。

 

さすがWestern。縦振動盤も再生出来る。