私の趣味の一つに絵を描くことがあるがこれは近年始めたものである。我が家の常連客Ｋさんが美術教師をしていて私に「絵を描いてみない？」と誘ったのがきっかけである。もともと絵を見るのは好きで美術展などへは結構行っていたものである。Ｋさんがわたしの美術眼を見直したのは私がベラスケスを好きだと言ったことからだそうである。まあ、それはともかく高校以来絵は一枚も描いたことがないし、小学生のときと比べてもほとんど上達しているとは思われない。そんな私にＫさんは「大丈夫、俺の言うとおり描いていれば上達するし、ちゃんとした作品が描ける。」というのだ。この言葉を信じて始めたのだが一つ問題があった。それは私が全くといっていいほど先生のいう事を聞かないのである。「描く姿勢が崩れてきているよ。視点がずれるだろうが。」「うまく行かなかったと思ったらさっさと消して描き直す。絵は修正してゆくことで完成するんだから。この男は強情を張って直そうとしないからどんどんバランスが崩れて変な絵になってしまうんだ。」と手厳しいお言葉を頂戴しても馬の耳に念仏とやらで一向に改めない私。たぶん我ながらへそ曲がりなんだと思う。こんな私でも辛抱強いＫさんは付き合ってくれて数点の作品の完成にこぎつけることが出来た。だが昨年一年間は我が家の改築のためお絵かき教室は中止になってしまった。以降は私の怠惰な性格のためそのままずるずると閉鎖している。流石のＫさんもあきらめたのか最近は何も言わなくなった。皆さん見捨てられるって悲しいことですね、なんちゃって。ともあれ名誉回復するには一人で描いてＫさんにお許しを請う以外にない。そして今日描こうか？明日にしようか？となかなか決心が付かない私なのである。（こりん奴っちゃの〜）
写真：粟島漁港
