漸く暖かくなったので久し振りに夢の森公園近くまで散歩する事にした。明日山登りをするのでその足慣らしもある。少し行くと昨年ジャーマンアイリスの球根を戴いたＭさんの家の所に来る。Ｍさんは農業を営んでいらっしゃるので畑仕事をしている最中だった。私は嘗てＭさんの子供さんを家庭教師で教えていた事があるので、気軽に声を掛けて色々話をしていて花の話になった。一緒に散歩に出かけたＵさんが
「この水仙がウチにはないのでまた増えすぎていらなっくなったら欲しいんです。」
と言うと
「ああ、そんな物邪魔になって来たんで昨年ちょっと間引いたんです。いくらでも差上げますよ」
と仰るでは無いか。あらま、また只戴ける事になった。悪いなあ。（思惑道理だったりして。――コラコラ。）
「散歩の帰りにまたここを通るでしょ。その時までに掘っておいてあげますよ。」
私達は感謝しつつ散歩を続ける。今日のもう一つの目的はワラビ採りにある。今日は本格時に採るのでは無く、まあちょっと食卓に添える程度である。ワラビもそろそろ出始めといった所。そこそこ採ってＭさん宅の畑に戻ると、昨年採った球根とたった今掘り起こして花が付いているものを渡してくれた。するとＵさんが
「すかんぴんは本当はそっちの白く小さい水仙が欲しいんですって。」
と言ってくれた。奥ゆかしい私は（ホントかよ！）図々しくその事を切り出せなかったのである。Ｍさんの奥さんは
「あれ、早く言ってくれれば一緒に掘り出しておいたのに。遠慮する柄じゃ有るまいし。」
と仰る。あらあ、しっかり私の性格を読まれている。奥さんは嫌な顔もせずに白い水仙も掘ってくださった。いや〜、散歩というのはいいもんですな。
「お出掛けは一声掛けて花もらい」
お粗末。
