姉が私の65才の誕生日を祝ってくれた。毎年服かなんかをプレゼントしてくれるのだが、今年は夕食を御馳走してくれた。旦那も一緒だったからその方が良かったのかも知れない。
それにしてももう還暦をとっくに過ぎて高齢者の仲間入りをした人間に今更誕生日の祝いでもなかろうが、姉の毎年の慣例となっているのか、今年も律儀にもお祝いしてくれた。
正直こちらとしては何か申し訳ない気がする。と言うのは、こちらは姉の誕生日には何も御馳走はおろかプレゼントさえも贈ってないのである。借金がどんどんかさむ一方なのだ。だから何でこんなにしてくれるの？と何か魂胆が有るのではないかと些かいぶかる気持ちさえ湧いてくる。
それは冗談として、まあ少なからず姉の面倒は見たから、それへの感謝として有り難く毎年戴いている。それに私は独り者。いずれ私が亡くなれば、財産と言うほどの物はそれほど有るわけではないが、どうしたって甥や姪の所へ行く。まあ、それで埋め合わせるしか有るまい、
ただこの歳までお互い元気にやってこられたから、こうやって一緒に食事を共にする機会が有るのは有り難い事だと思う。これで寝たきりの兄が元気でいてくれたら、三兄弟でゆっくり過ごせる機会が有ったのにと残念な気持ちになる。でも三兄弟、一日でも長く生きられたらと思うこの頃である。
誕生日を迎える事がこの歳になると、果たして嬉しい事なのかどうかは良く分からないが、私と同じ歳まで生きられなかった同期の人たちの事を考えると、やはり長生きすると言う事はそれなりに価値のある事なのだろう。早世された方達の中には、やりたい事が有ってもやれないうちになくなった人も少なくないだろう。こうやってのんべんだらりながらも、好きな事をやって日を送られる事はある意味贅沢な事かも知れない。
金を使う事だけが贅沢なのでは無い。自分で思うように生き、心の贅沢をする事こそが本当の贅沢者だと信じて、これからの人生もマイペースで暮らして行こうと思う。
