夕飯の用意をしていたら電話が掛かってきたので出ると
「社長さんでいらっしゃいますか?」
といきなり尋ねられたので、そうですけど今はもう商売をやっておりませんと伝えると
「そうなんですね」
と相手は来た。
これには思わずムカッっと来てしまい、
「あのね、あなたは私が商売を辞めた事を知らなかったんでしょう? だったら『そうなんですね』はおかしいでしょ。『そうなんですか』とか『左様でございましたか』とか言うべきでしょ。」
と言ったら
「失礼しました」
と言って電話を切った。
まあ、言葉遣いは丁寧だっただけに、「そうなんですね」さえ言わなければ、私もぶち切れる事はなかったのだが、つい声が大きくなって相手を叱りつけるようになってしまったのは大いに反省しなければならない。どうも最近の私は政治がメチャクチャになって来ているせいか、やたらと怒りやすくなっているのは確かだ。
歳を取れば気が長くなると思ったら、どうも私の場合それに反比例しているようだから困る。(笑)でも若い人の間でどんどん耳障りな言葉が氾濫しているのには辟易する。「~させて戴きます」、「~になります」「~の方大丈夫ですか」、「メッチャ~」だの数え上げれば切りが無い。最近ではNHKのアナウンサーまでがこの「そうなんですね」を使っているのには驚いた。
いくら言葉が時代と共に変わると有っても、おかしな言葉遣いはメディアがどんどん取り上げて、その使い方は恥ずかしいから止めよう位な事を言っても良いはずだが・・・。改まった公な場などでは使い分けるから大丈夫だという声もあるが、普段何気なく使っている言葉はそんな場合にもつい出てしまうものだ。
実際今日のヤフー・ニュースを見ていたら、タレントのガダルカナル・タカが「情報ライブ ミヤネ屋」に出演していて、
「本当にこの状況下で、どこに正解があるのか分からない中、小池都知事、ものすごく頑張って、一生懸命いろんなことに対応してくれてると思うんですけど、まず国と話しろや!!それが知事の仕事でしょ!」
と言っている。これなんか悪気が有って言っているのでは無いと思うけど、「国と話しろや」は無いでしょう。ヤクザじゃ有るまいし。仮にもあいては都知事であり、自分よりも年上なんだから「お話し下さい」でしょう。結局これも普段誰にでも使っているから、こう言う公共の電波に流れてしまう場面でも、そうした話し方になってしまうのだ。
無論偉そうに私も人に言えるほどしっかり使い分けていられるのかと言われると、些か自信は無いが、少なくともそうならないようには心がけている。一体何時からこんなおかしな言葉遣いがまかり通るようになったのかは知らないが、テレビやラジオ、ネットなどを通じ、若者の間に広がっていった事は想像に難くない。問題はその誤った使い方を誰もその場で矯正しない事だ。それを指摘すると、そんな些細な事で番組の流れを中断したとか、うるさいオジさん、おばさんと思われるのが嫌なのかも知れない。
だが指摘しなければそのままその使い方を容認した事になり、やがてそれが既成事実化し、悪貨は良貨を駆逐してしまうのだ。時の政府がどんなに悪い事をしても、我々が声を上げ続けなければ、それを認めてしまう事になり、国はおかしな方向に向かってしまうだろう。
おかしい事はおかしいと声を上げ辛くなっている今の時代に息苦しさを感じているのは私だけだろうか?