ここの所天気が悪いので一日家に居る事が多い。そうすると中には相手をしたくない人もチャイムを鳴らすことが有る。
「御免下さい。」
「はい、何でしょう？」
「○ホバの証人の者です。度々こちらにお伺いしているんですが・・・」
「あ、すみません。宗教には全く興味がありませんので失礼します。」
「あーたら、こーたら、ムニャムニャ・・・・・・。」
相手はまだインターフォンに向かって何か言っていたが知らんもんね。宗教の布教は必ず貧乏人や弱者を相手にしたがる。金のない者を相手にするより有る奴を相手にしなさいよ。あるいは信仰を通じて清い心にさせたいのなら政治家先生の所にでも布教に行っておくれ。まあ、こんな寒空に熱心な事。げに信仰とは大した物ですな。
ピンポ〜ン！あ、また誰か来た。全く今日は良く人が来るな。
「どなたでしょうか。」
「あ、○東建託の者ですが。」
「何でしょうか？」
「はい、この辺りを回っているんですが、空いている土地をお持ちでないかとお伺いしているんです。」
まあ取り敢えず玄関に出てみる。
「御覧の様に既に家は建てたばかりだし、空いている土地なんぞ持っちゃいませんよ。大体この時勢アパートなんて建てたって入り手なんぞありませんよ。それに建物が古くなれば今の若い人は直ぐに新しい所に入りたがるし、アパート経営なんか赤字ばっかりで採算取れませんよ。第一貴方尋ねる所を間違っている。この団地の外れにいま家が盛んに建っているでしょう？あそこに行ってまだ建っていない屋敷の持ち主辺りと交渉した方が時間の無駄になりませんよ。はい、さようなら。」
一方的にまくし立てて玄関でシャットアウト。アー、寒い目をしたぜ。全くこの天気の御陰で何処にも出かけられないもんだから、いちいち相手をしなくちゃならない羽目になる。気が早いけど春よ早く来い。
