キノコ博士のＨ先生が電話をしてきて午後から来ないかとお誘いを受けた。うん、何だろう？ パソコントラブルならそう言うだろうし、話し相手でも欲しくなったのかな、などと思いながらお邪魔した。
最初はお互いの近況などを話していたが頃合いは良しと見たか、先生は実は自分ももう歳だから（確か御年90歳）今年でコミセンのキノコ採りのきのこ狩りの同定役は辞めるから、私に引き継いで貰えないかと言う。ついては今年は9月30日(金)に行こうかと思っているので、是非私に参加して欲しいと仰るのだ。
あいや～、たまげたアルね。私は先生にそりゃあお眼鏡違いですよと言った。私なんかキノコ採りを一生懸命始めてから高々まだ10年程だ。まだそれこそよく分からないで未だに先生におんぶにだっこしている私ごときが鑑定役なんぞ務まるはずが無い。
「柏崎キノコ研究会の会員の方でいくらでも私より詳しい方がいるでしょう。そう言った人に頼んでみたら如何でしょう。」
「イヤイヤ、地元コミセンの企画なんだから地元の人がいいんだよ。」
「えー、私は先生みたいな専門家でも何でも無いし、それに最近は脳軟化症が進んで直ぐに名前を思い出せないくらいなんですよ。(笑)それに数多有るキノコを先生みたいに直ぐに同定出来ません。」
「キノコ鑑定会をやる妙高笹ヶ峰で採る場所は毎年出るキノコはほとんど決まっているから、そんなに難しい事は無いよ。後はちょっとすかんぴん君、勉強してみてくれ。」
ちゅど～ん！よ、弱ったべ。長年お世話になっている先生の頼みを無碍に断る訳にも行かず、渋々お引き受けした。オイラが鑑定した結果、キノコに中る人が続出なんて事になっても知らないよーん。まあ、無理に毎年やる事も無かろうから、適当にやっておこう。
だが先生はその私の腹の中を察したのか、まあ色々と写真を撮ったり、キノコ日記を付けたり、また山へ行くのだから簡単な花の名前辺りも覚えてくれと仰るのだった。ひんえ～い、花までもだって。ムリ、ムリ、ムリー。一体先生は私の何処を見込んだのだろう？ 丸っきり考え違いをしているのではないか。
まあ、しょうがないから、花はともかくキノコは何とか頑張ってみますと返答して先生のおうちを後にした。あーあ、エライ事になったなあ。まさかキノコ博士の後継者に指名されようとは。うー、これから毎日きのこの図鑑を見なければ。(笑）
