夕方キノコを洗っていると町内のセーさんが先日渡しによこした書類の訂正分を持って来た。手渡してそのまま帰るかと思いきや、どうも何か寄って行きたいような素振りを見せていたので、キノコ洗いを中断して家に入って貰った。
訂正書類の説明を受ければそれではお帰りくださいでいいのだが、それでは余りに素っ気ないのでコーヒーを出して音楽を掛けることにした。この間は使おうとしていたモノラルシステムからどう言う訳か音が出なかったから、
「今度は大丈夫だよ。きっとこの間は聞かせたくなかったから機械がストライキを起こしたんだろう」
と冗談を言って掛けようとしたら、新しくなったステレオシステムの方が気になるようで､そちらが聞きたいとのこと。オイラは一瞬迷ったが、聞かせないのも出し惜しみしているようでイヤなのでかけることにした。
まあ、相変わらずステレオシステムに対する反応は鈍い。ミーさんのように直ぐに分かる方とそうでない人がいるのは事実だ。これはセーさんがオーディオシステムの音に対する経験が少ないからである。同じ様なレベルの人の所を順番に回って聞き合っても向上するはずが無い。やはり自分の耳のレベルを上げるにはいい音を出している所の音を聞かなければ駄目なのだ。
所が彼はどうもなまじ電気の知識も少しあるし、製作もするし、オイラと同い年なもんだからどうしても対抗心がある。自分の方がオーディオを分かっていると思っているのだ。あのね、知識の問題じゃ無いんだよね。要はいい音かどうか判断出来る耳を持っているかどうかなの。それは沢山聞いて修行するしか無いの。
オイラだってここまで来るのに45年はかかっているんだから。恐らくオーディオを始めた当初は今の音をいきなり聞かせられてもその良さを本当に理解出来たかは疑問だ。やはり段階を踏んで行かないと分かってこない。況してやオイラは鈍感なんだから。（笑）
まあ、今日はセーさんからケチを付けられなかったからいい音だなと思われたんだろう。ただ何処まで理解していたかは分からないが。（笑）一方モノラルシステムの方は文句なしに「ああ、いい音だなあ。これがステレオだったらなあ」と言われた。イヤ、モノラルだからいいんだよ。良い音楽、良い音にステレオもヘチマも無い。だから分かってらっしゃらないと言うのだよ。（笑）まあ、それでもケチを付けられるよりいいけど。（笑）
とにかく漸くセーさんが少しずつでも音が分かってきたのは有難い。本当はこのまま分からないようだったら、もうエレクトロヴォイスのフルレンジスピーカーでも聞かせてメインのシステムは聞かせないで置こうかなと考えたりもしたくらいだ。しかし、流石にそれはちょいと意地悪だから本日はサービスでお聞かせしましたよん。少しは参考になったかな。
オーディオの本ばかり読んで頭でっかちになって理屈をこねるのもいいけれど、飽くまでも音の体験が無いとなかなか理想の音にはたどり着けないと思うよ。オイラは幸い茨城の方々のイイ音を何回も聞かせて貰っていたから大いに参考になった。恐らく一人だけでやっていたらとても今のような音にはたどり着けなかったであろう。その点では茨城の友人達に感謝しております。田舎ではなかなかイイ音に接する機会が少ない。貴重な体験をさせて戴いたことに心より感謝致しております。（ホントだよ）
