すかんぴんのブログ「今日もヒマだぁ~」

暇を持て余して、お山、お絵かき、蕎麦打ち、山菜採り、キノコ採り、音楽鑑賞、オーディオ、パソコンと、あれこれ手を出し、もがいているジジイのページです。

毒を撒く悪い奴

 若きオーディオマニアI君が我が家に聴きに来てくれた。まあ、今はオーディオ店が無いし、電器屋さんもオーディオコーナーを設けなくなったから、何か製品を聴きたいと思っても聴くところが無い。マニアのお宅をお邪魔して聴くしか手立ては無い。

 

 Iさんは手土産持参でやって来た。エライ!若いのに良く気が付きましたなあ。まあ、でもこの次から決して手土産など持ってこないで下さいなどとは拙者言わないのだよ。ご覧のような貧乏所帯。どんどん持って来てー。オイラ決して遠慮しないから。(アホ!)

 

 I君は実際のスピーカーの現物を見て結構大きいのに驚いたらしい。まあ、ここまで大きいのを使っている人は余りいないからね。アンプが暖まるまで自家焙煎のコーヒーを飲んで戴き、まずはオートグラフで何かかけることにした。クラシックを聴かれるとのことだから、アンセルメ指揮の「シエラザード」をかける。音が出た瞬間

「いい音ですねえ」

オイオイ、まだかけ始めたばかりなんだから、誉めるのはまだ早いよ。(笑)

 

 折角来たのだからレコード片面全部を聴くと時間が掛かるから、適当なところで針を上げ、スピーカーを切り替えてジャズやらヴォーカルやら色々と聴いて貰うが、彼にはどれもが新鮮で甚く感動したらしい。そして言うには

「ああ、もっと早くすかんぴんさんに出会えていたら無駄な時間を過ごさずに済んだのに。勿体ないことをしたなあ。でも部屋と言いオーディオ機器と言い素晴らしいですね。後40年もしたら僕もこんな部屋を作りますから、それまですかんぴんさん、長生きして下さい」

だって。もうその時は生きちゃいないよ。だから早く音の良いオーディオ部屋を建てておくれ。(笑)

 

「あのね、オイラは他人様に毒を撒く悪い奴なんだよ。茨城にはもっと悪い奴もいるけどさ。余り影響を受けない方がいいと思うよ。現に上越の方でこのオーディオ・ウィルスに感染した人がいるんだから。これに罹るとまず金欠病を併発するし、オーディオ以外考えないようになって視野も狭くなる。程々にしておくことですな。」

「あ、幾らでも毒を撒いて下さい。甘んじて受けます。こんないい音を聞けるんだったらウィルスは怖く有りません。」

 

 知ーらないっと。斯くして私は純真無垢な青年を悪の道に引っ張り込むのであった、イヒヒヒ。ところで部屋のあちこちにCDが突っ込んであるのだが、そのうちの一枚が彼の目に留まる。

「あ、これチャイコフスキーの『1812年』ですよね。これかけて貰えません? これ大好きなんですけど、うちじゃ余り大きい音を出せないので。」

 

「あ、それね。大した曲じゃ無いけど何故か人気があるんだよね。でも亡くなった黛敏郎なんかけちょんけちょんにこなしていたなあ。あ、オイラLPも持ってるんだよ~ん。でもウチの古いシステムじゃトゥイターを吹っ飛ばす恐れがあるから、どちらもお蔵入りにしているんだよ。ネットからダウンロードした奴なら安全だからかけてあげるよ」

と言う訳で真夜中だかこの曲をかけることになった。使うスピーカーは当然オートグラフ。この大砲の実音を入れた演奏を迫力満点で聞くにはある程度音量をぶっ込んで聴かなきゃ意味が無い。幸い時刻はまだ午後9時前。多少音が漏れたって大丈夫だろう。でもひょっとして警察に通報される?(アホ!)

 

 曲も終盤。愈々件の大砲が放たれる。どっかあああん!どっかああああああん!ずううんんん! ひんえ~、神様どうかスピーカーがご無事でありますように。(笑) 圧巻のウチに演奏が終了する。I君、思わず拍手。あんれまあ、この子は完全に感染したべ。オイラ知らんもんね。(ヒドイ!)

 

 その後オーディオや音楽に関して話し、時刻も11時近くになったのでI君はまた訪ねても宜しいですかと訊いてきたので、予約さえ貰えれば何時でもいいですよと返事をした。若い時は情熱が有っていいですねえ。私も二十歳代はあんなだった。老い先短いジジイにとっては有り難い刺激になりますな。(笑)

 

昔はアームもカートリッジも割合最新の物を使っていたのでトレース出来たけど

今じゃ使っている機器はどれもこれも古い物ばかりだからこのLP盤再生は到底無理。(笑)