ヨーさんの所へ遊びに行ったら古い時計を持ち込んでこられた方がいて、何とか直して欲しいと仰る。見るとガラスの蓋こそ無かったが、ローマ数字の時刻表示で所謂八角時計である。しかも文字盤の所が大きく、振り子の所が小さい中々いい形をしている。私も以前の商売柄（商売柄）このローマ数字の八角時計は幾つも買った事があるが、こんなに形のいいのは初めてだ。恐らく大正時代くらいの物かも知れない。
お客さんは「直せるでしょうか？」と心配顔だったが、そこは流石ヨーさん。簡単に「1週間くらいで直ります」との事。伊達に長く時計屋さんをやっちゃいないよね。しかしこんな100年は経っていようかと思う時計を直せるんだから昔の物は有りがたい。これが今の時計のように電子基板なんぞ使っているのでは壊れたらもう直せない。
こうなると今の時代は果たして便利になったのかどうか甚だ疑わしい。何時も言っている事だがいい物を長く使ってこそ愛着が生まれるという物だ。技術が進んだが故に反って不便になるとは変な時代になった物ですな。
恐らく頼んだお客さんはその時計が動くようになれば無くなっていたガラスの丸蓋も作って貰って再び使用するだろう。その時の満足感が目に浮かぶようである。あ、そうそうゼンマイを巻く道具も無かった様なのでヨーさんが在庫して置いた物をあげるという。ここまでしてくれる時計屋さんは中々無いですよ。お客さん、いいお店へ入りましたね。（笑）
