○川さんから電話があって遊びに言っていいかと言うので、暇を持て余していた私は二つ返事でＯＫした。彼が我が家にこの前来た時はもう8，9年くらい前になるのではないか。無論その間私の家以外でたまに偶然会うことはあったが、わざわざ来てくれるのは本当に久し振りだ。
○川さんとは私がまだ30代の頃に、地元で共に「ジャズライヴを聴く会」という組織を立ち上げた。それ以来の知り合いなのだ。私が積もる話がいっぺこと（地元方言で沢山の意）有りますから、是非遊びに来て下さい。暇も持て余しているしと言うと、笑っておられた。
程なくして見えた○川さんは小脇に何か抱えている。それが何か尋ねると、
「これ、昔イタリア旅行した時に、買って来たポスターで、額を特注で作って貰ったんだよ。で、いつか飾ろうと思っていたんだけど、とうとう飾ること無く、しまったままになっていたんで、このままにしておくのも勿体ないから、この間オーディオ機器を売って貰った御礼に差し上げようと思って持ってきたんだよ」
と仰る。
見るとそれはモダン・ジャズの開祖の一人であるディジー・ガレスピーのポスターではないか。サッチモ（ルイ・アームストロング）やマイルス・デイビスのポスターを飾っている人は少なくないが、ビ・バップの開祖、ガレスピーのポスターを飾っている奴はそうはいない。いや～、いいものを戴きましたなあ。う～む、これも我が輩の人徳のなせる業か。（アホ、調子に乗るな）
さあ、それから3時間もの間、色々と積もる話をして楽しかった。○川さんはこの数年間の間に義母を亡くされたり、奥様のご病気やら、ご自身の怪我やら、色々と大変な目に合われたそうな。でもどん底もそんなに長くは続きませんよ。今度は上がるばっかりだから、希望が持てますよと励ました。こうやって他人に話すことで気持ちが些かでも楽になって貰えれば幸いだ。
そして記念すべき第一回のジャズライヴを聴く会の「武田和命カルテット」のカセットテープを○川さんがお持ちとのことだから、テープがダメにならないうちにＣＤ化しようなどと話はあちこちに飛び火する。まあ、昔の仲間と腹を割った話が出来ると言うことはいいものです。人とのご縁は大切にしたい物ですね。
おお、素晴らしい。ビ・バップの開祖ディジー・ガレスピーの若き日の姿。
